ちょっと意外な認知症の初期症状

認知症の初期症状といえば『もの忘れ』や『時間や場所が分からなくなる』といったことを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ですが、認知症の初期症状の中には『えっ⁉それが認知症の症状なの⁉』と思われるような症状もあるんですよ。

 

 

においが分かりづらくなる

嗅覚これはアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の初期症状の一つです。もの忘れなどの記憶障害は、記憶をつかさどる海馬と呼ばれる脳の部分の神経細胞が衰えることで起こります。においに関する情報は、脳の嗅内皮質と呼ばれる部分で処理されています。この嗅内皮質は海馬のすくそばに位置しており、神経細胞のダメージは嗅内皮質から海馬へと広がっていくとされています。そのため、記憶障害が出る前に嗅覚障害が起こるのです。

 

睡眠中に大声で寝言を言ったり、激しく手足を動かしたりする

これはレビー小体型認知症の初期症状として起こることがあります。睡眠中のレム睡眠と呼ばれる、夢を見る浅い眠りの時間に起こるので『レム睡眠行動障害』と呼ばれます。通常レム睡眠時は、手足は脱力しており脳だけが活発に動いている状態ですが『レム睡眠行動障害』がある人は、手足が脱力状態にならずに、夢の通りに行動してしまいます。そのため大声をあげたり、手足をばたばたと動かしたりしてしまうのです。レビー小体型認知症が発生する数年前からこういった症状がみられることがあります。

 

性格が変わってしまった

これは前頭側頭型認知症の初期症状の一つです。前頭葉は思考・理性・意欲・計画性・コミュニケーションなど『人間らしさ』にかかわる重要な領域です。この前頭葉の萎縮が起こり、行動がコントロールできなくなることで『人が変わってしまった』と感じる症状が現れることがあります。

『おしゃれが好きだったのに同じ服しか着なくなった』『同じ時間に同じ行動を繰り返し、それを邪魔されると怒るようになった』といったものや、行動を抑制できず『赤信号でも道路を渡ってしまう』『万引きや無銭飲食を繰り返してしまう』という社会的な問題になってしまう行動をしてしまうこともあります。

 

認知症とは『いったん正常に発達した脳に何らかの原因で障害が起き、日常生活がうまく行えなくなるような状態』のことをいいます。

その初期症状や原因となる病気はさまざまです。

早めに専門医などに相談すれば、その進行を遅らせることも可能です。

少しでも『あれっ』と思うことがあったら、かかりつけ医や専門医に相談してくださいね。

関連ページはこちら  認知症の始まりって? ~認知症の初期症状~

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