認知症全体の約70%を占めるアルツハイマー型認知症は、ある日突然始まるのではなく、いつからかゆっくりと進行していきます。
では最初はどんな言動から始まっていくのか、その例をいくつかご紹介します。
無気力・無関心
・「ニュースを見る」「新聞を読む」など周りの出来事への関心が薄くなった
・以前から続けていた趣味をやめてしまった
・身なりに気をつかわなくなった
女性だと化粧や髪染めをしなくなったり、男性だとひげを剃らなくなったりすることもあります。お風呂に入るのが面倒になって頻度が減ってしまうこともあります。
記憶障害
・同じことを何度も話したり、聞いてきたりする
・物の置き忘れが増え、よく捜し物をしている
・薬の飲み忘れが多くなった
・鍋をこがしたり、水を出しっぱなしにしたりすることが増えた
最近の出来事を忘れてしまうことから始まります。ちょっと前に電話で話していた人の名前が分からなくなることもあります。
見当識障害
・日にちや曜日が分からなくなった
・いつもの慣れた道で迷ってしまう
・ごみの収集日を守れなくなる
『見当識(けんとうしき)』とは、「現在の年月や時刻、自分がいる場所など基本的な状況把握」をさす言葉です。アルツハイマー型認知症では、時間→場所→人物の順番で分からなくなっていきます。
実行障害
・運転ミスが多くなった
・料理の手順を間違えてしまう、味付けが変わってしまった
・いつも札で買い物をするので、財布が小銭でいっぱいになっている
計画を立てて、手順通りに物事を行うことが難しくなってきます。財布が小銭でいっぱいになっている人は、小銭の計算ができなくなっている可能性があります。
これらのことが起こることで不安感を感じたり、人から指摘されることで怒りっぽくなったりもします。また、物の置き場所を忘れてしまうことで「誰かに盗られたのでは」と疑い深くなったり、『もの盗られ妄想』がおきたりもします。
「当てはまるかも…」と思ったら
認知症は早期発見・早期対応でその進行を遅らせることが可能な場合があります。
これらの言動が見られたから必ずしも認知症になったというわけではありませんが、ご家族が「いくつか当てはまるかも…」と思ったら、まずはかかりつけ医や専門医・相談窓口などに相談するとおすすめします。
介護老人保健施設で介護福祉士として長く働き、ケアマネジャーを経て、地域密着型通所介護の所長を務めていました。
高齢者やそのご家族が、いきいきと健康的に過ごせるような生活情報をお伝えしてまいります。