「ありがとう」の花束!
在宅介護は、隣で寝ていたおじいちゃんに「お腹が空いた」と夜中に起こされたり、お風呂で時々粗相があったり、日常茶飯事休まることがありません。
心が折れそうになることもしばしばあります。
「ありがとう」の一言は、幸せにつながります。
ありがとうのやり取りは、うれしかったり、恥ずかしかったり、ほっこりしたり。
あるおばあさんは、顔を出すたびに「あなた誰?」から始まるのですが、帰り際には必ず「また来てね、私のこと忘れないでよ!ありがとうね」とベッドから笑顔で見送ってくださいます。
そして毎度同じ話で盛り上がります。
おばあさんが小さい頃、生理のナプキンがなかった話。
そのおばあさんは五人姉妹だったので、姉妹全員で脱脂綿をハサミで切って、ナプキンを手作りした話。
その話をとても懐かしがり、楽しそうに語るのです。
いいお話だなぁと、毎回その話を聞くのが楽しみです。
同時に、いまは便利な物がたくさんある時代。
そのことにも「ありがたい」の気持ちが連鎖するのです。
私が小さい頃、おじいちゃんと歩いていた時、危ないからとおじいちゃんの手をつないだことがありました。
おじいちゃんは、子どもながらに、ぶっきらぼうで近寄りがたく、タバコくさいし、少なからず苦手な気持ちを抱いていました。
ちょっといやだなと思いながらつないだ手。
「ありがとう」と言われたときの、うれしさとごめんなさいの複雑な気持ち。
ゴツゴツした手のぬくもり。
「ありがとう」の一言に、優劣はありません。
相手を想い掛けた言葉は、言う側も言われる側にも、感謝の連鎖が生まれます。
介護は、毎日小さな「ありがとう」がたくさん生まれて、たくさん集まって、大変な中に「幸せだな」と感じる瞬間があります。
介護は、いつか終わる日がきてしまいます。
「幸せだな」と感じた瞬間のことを何年後かに思い出して、「あの時は、ありがとう」と思う日がきます。
いま一緒にいる時間を大事にお過ごしください!