昔話のススメ
介護は、子育てと違い、先の見えない感覚にしばしばとらわれてしまうことがあります。
今まで以上に密な関係・密な時間が流れている介護。
介護はお互い無言ではできません。
おじいさんやおばあさんの昔の話を聞くだけでも、ストレス発散につながります。
介護と思いつつも誰かがおしゃべりを始めたら、少しだけ、いまやっているお仕事の手を休めて聞き耳を立ててみてください。
思わず聞き入ってしまいますよ!
戦争の時に子ども時代を過ごしたおばあちゃんがいました。
とても鮮明に、体験談を繰り返し繰り返し語っています。
戦争は、想像することすらはばかられてしまうほどの、凄まじい体験であったことと思います。
兵隊さんがビシっと並んで歩いていたこと、疎開先で命拾いした話、防空壕の中で女の子たちとおしゃべりに興じた話など、とてもリアルにお話をされます。
まるでこちらもその場にいるかのような臨場感を味わいました。
昔話は、貴重なお話です。
その方の人生経験を追随させていただける、限られたひととき。
一緒にいることのありがたさも身に沁みわたります。
「子ども叱るな元来た道。年寄りきらうなこれから行く道」
あるおばあさんのご自宅の壁に飾られていた色紙の言葉とおばあさんのお話を時々思い出すことがあります。
元出を調べたら、作者不詳のものを永六輔さんが集めたもののようです。
おばあさんは、その言葉を心に刻みながら、若い頃、義父の介護・お世話をしていた話をしてくださいました。
本やインターネットからの知識が溢れ出している現在。
手先のスマホからの情報よりも、身近なおじいさんやおばあさんのお話をしっかり聞いて、見て、触って、感じることが贅沢な時間だと改めて思う日々です。