どこに行こうとしているの?~徘徊の理由~

住宅街を徘徊する高齢者

認知症の症状の一つである『徘徊』。

事故やけがの心配があったり、帰ってこられなくなって探したり、何かと介護者の負担は大きいものです。

では、なぜ歩き回るのでしょうか?その理由、一緒に探ってみませんか?

そもそも『徘徊』ってどういう意味?

徘徊という言葉そのものには『あてもなく、うろうろと歩き回ること』という意味があります。しかし、認知症による徘徊には、きちんと本人なりの理由や目的があるんですよ。

じゃあ、どんな理由が多いの?

ケース1 「分からなくなっちゃった」

徘徊の一つのケースとして挙げられるのが、実際に道に迷っているケースです。

「道順が分からなくなった」「バスの乗り方が分からなくなった」という目的地へ行くための手段や方法が分からなくなってしまうケースや、「どこへ行こうとしていたのか分からなくなった」という目的地そのものが分からなくなってしまうケースもあります。

記憶障害により直近の記憶が欠落してしまったり、見当識障害(時間や場所・人などの状況把握ができなくなること)により自分の今いる場所が分からなくなったりすることが原因です。

これらの言動は認知症の比較的初期段階に見られることが多いです。

ケース2 「○○へ行かなきゃいけない」

続いては、現状と本人の目的とが一致しないケースです。

「(自宅にいるのもかかわらず)家に帰りたい」と話したり、「(現在は食事の支度はしていないのに)買い物に行かなきゃいけない」「(何年も前に退職しているが)会社に行かなきゃいけない」と話したりして、そわそわと落ち着きがなくなったり、歩き回ったりするものです。

これらは、見当識障害により自身の現在の状況と認識にずれが生じることや、その結果として『私=家事や仕事をバリバリとこなしていた自分』という認識になのるで、「自分の役割を果たさなければならない」と思っていることなどが理由として挙げられます。

ケース3 不安や不快の表現として

不快やストレスの表現として歩き回るというケースもあります。

「転居したばかりで環境になじめずに前の自宅に戻ろうとして」「認知症によりできなくなったことを家族に叱責されそのストレスから」などの理由で、不安や不快を解消するために落ち着く場所へ移動しようとして歩き回ったりするケースです。

また、便秘など体の不調があった場合に、それを自ら把握しうまく表現することができない時に歩き回ってしまうというケースもあります。

ひとくちに『徘徊』といってもその理由は千差万別。

訳もなく歩き回っているのではないということをご理解頂けると、認知症徘徊者の気持ちに寄り添う第一歩になるかもしれません。

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