前編では、認定調査の流れなどについてお伝えしました。
後編では『訪問調査』について、家族としておさえておきたい大切なポイントをご紹介します。
認定調査の特徴
認定調査では、一次判定と二次判定の後に『要介護度』が決まります。二段階になっているのは、機械的には決められない個人の状況を要介護度に反映させるためです。
二次判定では、主治医意見書と調査票の特記事項をもとに判定を行います。特記事項には、調査員が基本調査票に記した判断の根拠や、介護の手間や頻度を記載することになっています。
つまり、この部分をいかにうまく伝えられるかが認定調査のカギになるのです。
訪問調査で大切なこと
どんなことを聞かれるのかチェック
訪問調査が終わってから「うまく伝えられなかった」「あのことも言っておけばよかった」と後悔しないためにも、まずは調査内容を確認してみましょう。
調査票はインターネット上で公開されており、誰でも見ることができます。訪問調査は約1時間程度で行われます。限られた時間の中で普段の様子を伝えるためには、事前に内容を把握しておくことが大切です。
調査に同席しよう
介護を行っている家族や、普段の様子をよくわかっている家族が同席するようにしましょう。理由は2つ「ついつい頑張っちゃうから」そして「実際の介護の状況を伝えるため」です。
認定調査では「できる・できない・ここまではできる」ということを明らかにするために、質問をしたり実際に動作を行ってもらったりします。
ところが「自分はまだまだできるんだ」というところを調査員に認めてもらおうと、普段は介護を受けていることを一人でやってみせたり、特に認知症がある場合などは「お客さんが来たからしっかりしなきゃ」といつもより明確な受け答えをしたりすることがあります。
これでは、初対面の調査員に普段の様子を理解してもらうのはなかなか困難です。認定調査は「どれだけ介護が必要な状態であるか」を判定するものです。介護量に関しては本人と家族の認識にはズレがあることがあることもあります。そのズレに介護の大変さが隠れていたりするものです。なので、家族が「普段どれだけ介護を行っているか」を調査員に伝えるためにも家族は同席するようにしましょう。
頻度は具体的に
調査員が判断をする基準に『頻度』があります。日によって、時間帯によって、体調や天候によって、できることや介護の量には波があるということはよくあります。
身体的な介護の状況において『一部介助』なのか『全介助』なのかという判断を行う時、認知症の症状が『ときどきある』なのか『ある』なのかという判断を行う時、この『頻度』でどちらにするかを判断することになります。
なので、介護をする頻度や認知症の症状が現れる頻度が、『1日に何回』『1週間に何回』『1ヶ月に何回』なのかを答えられるようにしておくとよいでしょう。
もし「本人の前では伝えにくいな 」ということがあればメモなどで伝えてもOKです。
何より大切なのは『現状をありのままに知ってもらうこと』です。
今回ご紹介した内容がその助けになれば幸いです。
介護老人保健施設で介護福祉士として長く働き、ケアマネジャーを経て、地域密着型通所介護の所長を務めていました。
高齢者やそのご家族が、いきいきと健康的に過ごせるような生活情報をお伝えしてまいります。