『春眠暁を覚えず』という言葉もあるように、太陽の温かさを感じる季節になり、ついつい朝寝坊してしまいたくなる方もいらっしゃるのではないでしょか。しかし、よく眠れずに困っている高齢者は多くいらっしゃいます。そこで今回は、睡眠の質を高めるための最適な環境についてご紹介します。
よく眠るための温度
睡眠の質を高めるための室温は25℃前後、布団の中の温度は35℃前後です。人は眠たくなると手足などが温かくなります。これは、深部体温(脳や臓器など体の中の温度)を下げるために、体の表面から熱を放出するからです。脳の温度が下がることで眠気を感じ、スムーズに眠りにつくことができます。この熱の放出に最適なのがこれらの温度なのです。
手足が冷たい冷え性の人の寝つきが悪い原因は、手足の血管が収縮し、この熱の放出がうまくできないためです。そんな時は、就寝前の手湯や足湯で手足を温めるといいですよ。
よく眠るための湿度
睡眠の質を高めるための湿度は50~60%です。就寝中、人は目に見えない汗をかいています。これは通常でもコップ1杯分ほどもあるといわれています。湿度が高すぎると、この汗をうまくかくことができず、眠りを妨げてしまいます。逆に、部屋が乾燥していると、喉や鼻の粘膜が乾燥してしまい、途中で目が覚める原因になってしまいます。
よく眠るための音
よく眠るためには、寝室は40デシベル以下の静けさがベストです。40デシベルとは図書館くらいの静けさです。寝掛けに音楽やラジオを聞いている人も多いかと思います。音が鳴り続けていると途中で目が覚める原因になってしまうので、オフタイマーなどを使うようにしましょう。
ちなみに、いびきは50~60デシベルほどで、繁華街の騒音と同じくらいのレベルです。いびきについては、同じ部屋で寝ている人だけでなく、本人も実はよく眠れていなかったりするので、かかりつけ医などに相談するのがよいでしょう。
よく眠るための光
眠気を誘う『メロトニン』というホルモンは暗くなることで分泌されます。就寝時間の1~2時間前に一段階明るさを落とすと、体が自然と眠るための準備を始めます。夜中にトイレに行くために明かりが必要なこともあると思います。部屋全体を明るくし、直接光が目に入ってしまうと、目が冴えてしまいます。寝室には足元を照らすオレンジ系の間接照明を設置するのがお勧めです。
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ちょっとした工夫でも、睡眠の質を高めることができます。
睡眠に悩みを抱えている方、まずはこれらを試してみるのはいかがでしょうか。
介護老人保健施設で介護福祉士として長く働き、ケアマネジャーを経て、地域密着型通所介護の所長を務めていました。
高齢者やそのご家族が、いきいきと健康的に過ごせるような生活情報をお伝えしてまいります。